今日、11月第4木曜日は、アメリカでは「感謝祭」=「Thanksgiving Day」の日です。
日本でも11月23日は「勤労感謝の日」の祝日ですが、もともとはと言えば、戦前は「新嘗祭(にいなめさい)」と呼ばれ、天皇がその年の新米を神前に捧げ、また自らも食するという儀式の行われた日でした。
アメリカのサンクスギビングも「収穫を感謝する」という意味は、同じです。
サンクスギビングのそもそもの起源は、ピルグリム・ファーザーズ(清教徒)たちの時代に遡ります。信教の自由を求め、祖国イギリスを離れた清教徒たちが、新天地アメリカに上陸したのは、1620年、今のマサチューセッツ州プリマスという場所でした。
希望に燃えていた人々はしかし、寒さと飢えに苦しめられ、最初の冬を越したときは100名あまりのおよそ半分は亡くなってしまったといいます。
苦境を救ってくれたのは、地元に住んでいたネイティブアメリカン(いわゆるアメリカインディアンですね)でした。彼らから土地に適した作物や農耕の秘訣を教わり、清教徒たちは生き延びることができました。
その翌年の秋、豊かな収穫を神に感謝し、隣人であるネイティブアメリカンにお礼するために、彼らは盛大な収穫祭を開きました。
なんだかあまりに美談すぎて、作り話めいているのですが、サンクスギビング・ディナーのご馳走のメニューに当時の作物の様子が色濃く出ているのは、そのためです。
サンクスギビングは、アメリカ人にとってクリスマスよりも大事な、家族とともに食卓を囲むお祝いの日です。全米に散っている家族がこの日をめざして郷里に帰ってくるため、帰省ラッシュが起こって、ちょうど日本のお正月と似ています。
家族のお祝いなので、私たち一家が4年間のアメリカ滞在のあいだ、サンクスギビングのディナーに招待されたのはただ一度だけ、主人の同僚のお家です。
アメリカ人の奥様のこころづくしのご馳走のレシピを一生懸命聞き取って、メモ書きしたことを思い出します。結局日本に帰ってからは、一度も作らなくなってしまいましたが。
以下がそのときメモした、サンクスギビングのメニューです。
○ ロースト・ターキー
言わずと知れた感謝祭のメインディッシュ、「七面鳥の丸焼き」です。季節になるとスーパーには冷凍ターキーが山積みになります。通常は中に「スタッフィング」という詰め物をします。紙箱入りのインスタントもあるのですが、招待してくださった奥様はコーンブレッドや食パン、ベーコン、セロリ、玉ねぎなどで手作りしていました。
切り分けるのは一家の主の仕事。お皿にきれいに取り分けて、濃厚なグレービーとクランベリーソースをかけてくれます。
○ スイートポテト
日本のさつまいもに似たヤム芋をふかして、ブラウンシュガーやジンジャーとからめ、桃やカシューナッツといっしょにオーブンで焼きます。
○ コーンブレッド
これも定番だそうです。
○ ワイルドライス
つけあわせに供される、アメリカ原産の黒くて長いお米。ぼそぼそした味わいです。チキンブロスで炊き、ハム、リンゴ、ナッツと炒めて食べます。
○ マッシュポテト
ふかして、中身だけを裏ごしし、サワークリームと和えて、皮に詰め戻して焼きます。
○ パンプキンパイ
これも、サンクスギビングの定番でシナモン、ナツメグ、ジンジャーのスパイスが利いた味です。パンプキンの缶詰と冷凍パイシートを使う人が多いです。