きのうの日曜は、HAT神戸にある兵庫県立美術館へ、「ドレスデン国立美術館展」を見に行ってきました。震災復興10周年記念事業の一環として、また「日本におけるドイツ年2005/2006」のプロジェクトとして、東京に先駆けての展示です。ドイツ好きの私には見逃せないイベントでした。
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展示はまず、マイスターの本場らしく、集光器や四分儀などの科学用具から始まっています。
そして、展示を通じてのテーマは、「ドイツにおける模倣文化」であるように思えました。
伊万里に魅せられた王の命令のもとで、マイセンの磁器が生まれたのは有名な話ですが、戦争相手であるトルコの建築・衣装や、イタリア芸術・フランス王宮文化の流行も取り入れたりしています。
また、中国・日本風の陶磁器や漆器の制作、絵画においてはレンブラントの模倣から始まってドイツロマン主義に至るまでの過程が、オリジナルとの対比を通して理解しやすいように展示されていました。
王政の権力のもとに、東西のあらゆる文化が集められ、交じり合い、やがてオリジナルを越えて独自のものにまで高められていく。同じく優秀なコピー文化を持っている日本人にとっては、なるほどと親近感の湧く内容でした。
目玉は、フェルメールの「窓辺で手紙を読む若い女」とレンブラントの「ガニュメデスの誘拐」。月や夕陽や冬の景色を、光と影の対比を使って印象的に描いたロマン主義の風景画も見逃せません。
後半の絵画部門に見どころが多いので、時間の限られている方は、前半の道具部門にあまり時間をかけすぎないほうがよいでしょう(実は私がそうだった)。
東京でも6月から公開されるので、興味のある方はぜひ。