「新ティトス戦記」に最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました。「ティトス戦記」の続編にもかからわず、本編をはるかにしのぐ分量と連載期間になってしまいました。長い中断もあり、愛読者の皆様をやきもきさせてしまったことをお詫びします。
さて、このお話を作るにあたって、いくつか目標としたことがあります。
ひとつは、「ティトス戦記」の結末で別離に終わってしまった主人公カップルを、ふたたび結び合わせてやること。
もうひとつは、どうせ続編を書くなら、本編をすべてひっくり返すような設定をすること。そのために、中世風ファンタジーにスチームパンク的な味つけをほどこしたり、科学の発達した異世界の存在を作り上げたりしました(私の言うスチームパンクは、蒸気機関文明が発達したレトロな異世界という意味で使ってます。絵柄的には往年の「バッケンローダー」とか「FF7」のミッドガルですね)。
実は、「ティトス戦記」を脱稿したときは、続編が生まれる可能性をまったく考えていなかったため、何の伏線も仕込んではいませんでした。そういう状態で、世界観をひっくり返すような続編を書くことは、かなり無謀であり、細かい齟齬が生じていることは否めません。そういう矛盾や説明不足に関しては、「書かぬが花」であるとも思っているのですが、もし指摘をいただけたら、できるだけ加筆していきたいので、よろしくご教示願います。
自分がいったん作った世界を否定して新しい意味づけをすることは、作者にとっても冒険でもあり、書きあぐねた時期もありましたが、しかし、当初の目的どおり、大団円まで描き切ったのではないかと満足しております。
途中、幾度かアンケートを取り、その得票数によってストーリーの方向を決めるということもしてきました。
大筋は作者の構想と一致したものとなり、とてもうれしかったです。しかし、カップリングに関しては、なぜか予想外に「ルギド×エリアル」の得票が多く、そういう場面をお遊びで入れたりもしました。そして、最終的には「ラディク×エリアル」というカップルのエンディングを採択させていただきました。
実は、「ジュスタン×エリアル」の可能性もずっと残しておき、エピローグはダブルエンディングにしようかと画策していた時期もあったのです。亡くなられたチャトラさんも、第一回アンケートで「ジュスタン×エリアル」に投票してくださっていたなと、今懐かしく思い出しています。
中断もふくめて5年もの長期連載であり、応援してくださった読者さまたちが途中で入れ替わってしまったことは、喜び悲しみ相半ばするところではありますが、いずれにせよ、つたない物語を読んでくださる多くの方々の声援に支えられて、ここまで来ることができたことを感謝します。
もともと、ご感想や拍手をいただくことの少ない話ではありましたが(笑)、わがサイトの中では、今でも「伯爵家」の次に訪問者数が多い小説です。もしよろしければ、完結を機にご感想などいただければ、今後の励みにさせていただきます。
また「完結記念座談会」をというリクもいただいております。これは実現するかどうかわかりませんが、質問などを寄せていただければ、それに答える形でやってしまうかもしれません。
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