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「オンライン文化祭2010」読書ノート(2)

Posted on 2010-11-11 by BUTAPENN

「オンライン文化祭2010」(吉田和代さん主催)の応援を兼ねて、簡単な紹介と感想を掲載しています。今回で終わるつもりだったのですが、とにかく参加作品が多い。四回くらいに分けないと無理みたいです。
興味を覚えてくださった方は、ぜひ会場にお越しください。紹介文はネタばれにならないようにせいいっぱい努力しましたが、場合によっては、ネタばれと感じられるかもしれませんので、ご注意ください。
「オンライン文化祭2010」はこちら
「続きを読む」をクリックしてお進みください。
またコメント欄に、今までいただいたご感想へのレスを入れています。心当たりの方は、どうぞご覧ください。


(作者の敬称略)
「彼女の時計は手巻き式」  小高まあな
彼女の突然の死を受け入れられない主人公が、それを受容するまでの心の動きが、切なく描かれています。悲しいお話なのですが、失われた命がつながれていくような温かい読後感になれました。法律に対するこだわりも感じました。
「奏で、鳴り響く月夜の」  中井かづき
ピアニストへの道を断たれた少年は、納屋に閉じこもって、夜ひそかにピアノを弾く。窓の外に耳を澄ませる気配が…。虫の音だけが響く夜の静けさ、甘いピアノの音色、そういった音が、冴えた月明かりの情景の中で美しい彩りをもって感じられました。
「さよならピピピ」  迅本 洋
遠距離恋愛でふたりをつなぐものは、彼女の毎朝のモーニングコール。しかし次第にふたりの心をは離れていく。読んでいて切なくて、胸が苦しくて、誰の心の琴線をも震わせるリアルな等身大の物語だと思います。
「ハーメルンの黄昏」   CloudCollector*sVector(2CV)
町や人間が瞬時に崩れ去る「空間交差現象」からようやく立ち直りつつある世界で、声なき声に呼ばれて、次々と失踪する老人たち。養母の行方を追う刑事は、背後に巨大な影があることを知る。未来社会の設定描写が秀逸なハードボイルドSF。
「アーミン・プレストン卿の奇妙なるレッスン」 早瀬千夏
不器用のうえ音痴のアーミン・プレストン卿は、夜会で出会った男爵令嬢に見栄を張って、歌が得意だと言ってしまう。抱腹絶倒の特訓が、とても面白かったです。ペンギン・ブックスでイギリスの短編を読んでいるような気分になれました。
「BEAT GOLD」  蒼治
人を糧とする人外の種族が統治する時代。人の娘カズイは、幼かった彼女を拾ってくれた男の帰りを待ちわびていた。一途な主人公がけなげ。紫の上のように魅力的な女性に成長した姿が見てみたいです。長編小説「RED 赤」の番外編。
「 TIME ― 音が消えた日 ―」  りい
泥酔して帰った日の翌日、彼女が消えていた。ひとりぼっちの静かな部屋で、オレは不安な気持ちをもてあまし始める。部屋の中の実にさまざまな音を描写しながら、主人公が彼女を恋しく思う心を深めていく様子がじんわり伝わってきます。
「ガムラン」  香下若菜
年の離れた姉が出産で里帰りしてきて、姉中心の生活にとまどう主人公。ガムランの音楽を通して、ふたたび紡がれる姉妹の絆の物語。私もバリ音楽が好きなので、その音楽の描写にうなずきつつ、脳内に流しながら読みました。

3 thoughts on “「オンライン文化祭2010」読書ノート(2)”

  1. butapenn より:
    2010-11-13 16:57

    >ayu-iさま
    こちらこそ、丁寧なメールをありがとうございました。
    「化学反応」やっぱりいい言葉ですね。音楽仲間と使ってしまいそうです。
    >鈴子さま
    こちらこそ、昔から(笑)お名前をよく拝見していたのに、これが初めての交流だとは嘘みたいです。「伯爵家」いつか読みたいと言っていただけて、うれしいです。
    プロットはもうできているのですね。いつまでも待ちますよ。ネット界に永住するつもりの私なので、一年なんて早い早い。
    >ジャッカロープさま
    やはり、サイト開設は比較的新しいのですね。あの御作が長編化なんて、願ってもないことです。これからもちょくちょく伺います。
    >ことなあやりさま
    「ここから出して」の御感想ありがとうございます。やはり、このタイトルでは、かわいい女の子の監禁ホラーをイメージしてしまいますよね。騙されてくださってありがとうございます。本当は「ここから出せ!」でもよかったのですが…(笑)。エンディングでもわかるように、≪彼≫は、ちょっと幼いことばづかいにしてみました。
    ウツミは人間嫌いですが、まったく人と接触しない生活がどれほど大変かを身をもって知ったことでしょう。実は人間嫌いと公言する人ほど、人一倍さびしがりなのかもしれませんね。
    だから、寂しさを分け合った戦友である≪彼≫との約束を大切に守ったのだと思いますよ。
    >迅本さま
    調子に乗って、結婚秘話まで話してしまいました(笑)。詳しいことは、拙短編「セカンド・キス」をお読みください。千五百%美化していますが、ほぼ実話です。
    「ここから出して」の感想もありがとうございます。どんでん返しで不快な気分ではなく、「すがすがしい」とおっしゃってくださって、ほっとしました。10章は、この話の一番ジェットコースターなところで、ご心配をかけております。「ソニアとユベール」に関するご感想が面白かったので、実は「拍手小話」の枕に使ってしまいました。そのあとの妄想ネタは、完全に私の作り話ですが。
    寒さのおり、お気づかいありがとうございました。お互い風邪には気をつけましょうね。
    >芹沢優希さま
    「ここから出して」へのコメをありがとうございます。なかなか一般にはなじみにくいSFジャンルですが、楽しんでくださったようで、よかったです。意志をもった機械やロボットというのは、「アドム」で育った私には夢です。本当にそうなるには、まだまだ時間がかかりそうですが、実現してほしいなあ。ウツミの性別は、やはり今は秘密です。もしかして文化祭が終わったころに、ここでつぶやくかもしれません。
    >樂遊さま
    長文感想をありがとうございました。いちいち的確なおことばに、「おお」とうなってしまいました。うれしいです。
    私も「一か月のあいだ本の読み放題、クッキングマシンつき、いつ起きてもいい」などという生活は、天国かと思いますよ。ただ無音の状態というのは、それくらい地獄なのかな。収容所のお話などを見聞きすると、「音」それに「人との交流」がどれだけ、人間の生存に欠かせないかと教えられます。
    キーボード暗号は、私も自分のパソを見ながら考えたのですが、もしかすると、英語圏以外では、ほかの配列もあるのかなと、後で心配になってきました。それで相手も「かりふぉるにあ」出身に仕立てたわけでして。
    >「寂しい」という感情から生み出された囚人
    まさにおっしゃるとおりです。それから、≪彼≫が自分の名前を明かさなかった理由についても、いろいろ推理してくださって、驚きました。そうか、彼はそんなにけなげなことを考えていたんだと、あらためて彼の気持ちを深く思うチャンスを与えられました。
    カレブについては、旧約聖書の登場人物から名前をとったということで、間違いないです。深い意味はありませんが、なんとなく信頼できる上司というイメージを持たせたかったので。
    SEDIについては、まったく聖書とは関係ありません。うちの別小説の感情をもつロボットが「セフィ」という名前なので、それをもじっただけという。260についても、ただの思いつきでございますー。新約聖書は260章なのですね。申し訳ない(涙)。
    楽遊さんは、いつもそこまで拘って作品世界を構築しておられるのですね。ひたすら平伏です。ますます御作に興味がわいてきました。

    返信
  2. butapenn より:
    2010-11-16 16:19

    >葉居さま
    お越しくださって、コメントをありがとうございました。
    SF的設定の中に、暗号というミステリー風味を使いましたが、どきどきしてくださって、うれしいです。
    ふたりの会話については、残念ながら短編では、十分に書ききれなかった部分もありますが、どんどんと多彩になっていくと感じてくださったことに、安堵しまた。
    「約束を守りぬいた」ウツミは、やはり男前です。本当はウツミが男でも女でも、どちらでもよいのです。≪彼≫との友情には支障はありませんから。でも、やっぱり種族を超えた恋というほうが、ロマンチックなんですけど。ありがとうございました!
    >蒼治さま
    お運びくださって、ありがとうございます。拙い感想にも、サイトでのお返事ありがとうございました。
    確かに、読者さまには、≪彼≫が善意の隣人か、悪意の隣人かはわかりません。さらに、「誰もいなかった」という展開で、読む方の思い込みを全部ひっくり返してしまおうと試みました。
    終着点で、その試みが成功して、気分よくなっていただけるか、それとも、煙に巻かれたまま終わるかは、ひとつの賭けでしたが、賢明に読み取ってくださる方ばかりで、本当にありがたいです。
    はい。男でも女でも、どちらでも取れるように書いてあります。「私」という一人称は便利ですね。タイ語では、一人称が男女で違うので、このトリックは使えないのですが。

    返信
  3. butapenn より:
    2010-11-17 00:32

    >モギイさま
    梅(b^▽^)bさんのところから、お越しくださったですね、うわあ。ありがとうございます。モギイさんの「電気羊飼いと天使の卵」 、拝読させていただいてます。
    ウェブ拍手から、「ここから出して」の感想をありがとうございます。閉所恐怖症の方には、かなりツラい小説だったのではないでしょうか。
    「隣に誰もいない」という展開は、やはり「霊??」へのミスリーディングでしたね。もし、ここでリタイアなさった方が誰かいらしたら、申し訳ないです。でも、モギイさんのツボをつくことができてよかった。
    八年間というのは、人間にとっては長い歳月ですが、≪彼≫は待てたのでしょうね。約束を果たしたウツミもえらいですが、テクノロジーがそれだけ発達したおかげでもあります。
    これからのふたりの宇宙での活躍は、いつかどこかで書けたら書きたいですね。

    返信

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