たったひとつの言葉で、人生は変わることがある。 アメリカ留学途上の船の上で、「元初に神 天と地を創りたまへり」という旧約聖書・創世記 の第1ページを読んで、クリスチャンになることを決意したのは、同志社大学創立者・新島襄。 聖書には、そんな風に人を変える力がある。 ここまでは、わが教会の牧師のメッセージ。 ここからは私の体験談。 私も学生の頃、少し変わった聖書の一文で大きな転換を経験した。 私はあるグループのリーダーをしていた。大学4年のその年、私はある計画をみんなに諮り、 その決定にしたがって宿舎などの予約もして、準備を進めていた。 ところがその計画は、上の人の一声で完全に破棄されてしまった。 私は表面上従ったが、自分の部屋で泣いた。 それまでの準備。リーダーとしてのプライド。何もかもめちゃくちゃにされてしまった。 そのとき読んだ聖書のことば。それは普段なら全く見過ごしにしていたような一文だった。 もしあなたが苦難の日に気落ちしたら、あなたの力は弱い。 (箴言24:10) 考えたら当たり前のようなことばだ。苦難のときに気落ちしない人がいるだろうか。 生涯に一度も気落ちしたことのないような、強い人間がいるだろうか。 でも不思議なことに、それを読んで怒りは溶け、心が満たされた。 あなたは弱い。 人間の目から見ても、神の目から見ても、あなたは弱い。 でもそれでいい、と聖書から語りかけられているような気がしたのだ。 その不思議な安心感は、自分は強くあらねばならないという気負いからの解放だった。 そこに、私を愛してくれる人の眼差しを感じた。 愛する人が、私の耳元で囁くひとこと。 「ああ、きみは弱いなあ」 何よりも私を力づける、魔法のことば。 聖書はそのとき、私にとって神からのラブレターとなった。 |