先週の金・土曜と、兵庫県の城崎温泉に行ってきました。 阪神間の住人にとっては、温泉として一番身近なのは有馬温泉ですが、ちょっと身近すぎるキライがあります。県内で、多少は旅情も味わいたいとなると、湯村温泉か城崎温泉なのです…
年: 2009年
写真四題
特にブログのネタもないので、ケータイで撮りためた写真を並べてみます。 うちの庭で咲いているランタナ。近所で挿し木としていただいて以来一年、この春まではまったく葉が出ず、完全に枯れていると思っていたのに、いきなりにょきにょ…
「伯爵家の秘密」連載開始
風邪を引いて、まったりと過ごしていましたが、やっと今日から「伯爵家の秘密」の連載を開始しました。長編の連載開始というのは、何年ぶりでしょう。なんだか旅に出るみたいな気分で、わくわくします。 第1章は、まだ伯爵家に戻る前の…
ルート3のおしまい 【10のお題・終】
「平方根って?」 「たとえば、3ギアスの面積の正方形の土地があったとする。その一辺の長さが3の平方根だ」 父は地面に指で描いて、息子に見せた。「もしおまえが大工や石切の棟梁になるのなら、この計算は大切だぞ」 「え、この…
明日は美味しい 【10のお題・9】
「ねえ、今シチューを作ってるの」 妻は背中を向けたまま、扉から入ってきた俺に話しかけた。 「何の肉だか、当ててみて」 「……さあな」 「仔牛の肉よ、すごいでしょう。村の人が薬のお礼にってくれたの…
エルエル 【10のお題・8】
切った木を束ねていると、木々の向こうから馬のひづめの音が近づいてきた。 乗っていたのは、血のように真っ赤な紋章をつけた騎士だ。 「ライムント」 彼は燃える瞳で、俺をにらみつけた。 「あんたは、誰だ。俺を知っているの…
あかるいね 【10のお題・7】
ずっと小屋の屋根をふさいでいた木の枝を切り払った。 「空が見える」 妻は窓を開け放ち、歓声をあげた。「これで家の中が、夕方まであかるいね」 「ああ。そうだな」 梢を透かして降り注ぐ光は、まるで大聖堂のステンドグラス…
明確なアイマイ 【10のお題・6】
いくら考えても、曖昧なことがある。 俺の名前は何だ。どこで生まれたのだ。この体の無数の傷は、どこでできたのだろう。俺はずっと昔から木こりだったのか。 考えるまでもなく、確かなこともある。 ふたりで静かに暮らしてい…
きつね味 【10のお題・5】
森の中に仕掛けておいた罠に、狐がかかった。 「これで、カトリーネに上等のマントを作ってやれる」 俺は前足と後ろ足を縛って肩にかつぎ、意気揚々と帰途についた。 「ついでに狐味のシチューというのも、悪くはないな」 扉の…
ビスケット色 【10のお題・4】
妻は朝から張り切って、ビスケットを作っている。洗濯ものを干す間、俺に焼き加減を見ていろという。 「いつまで?」 「ビスケット色になるまでよ」 俺はオーブンの前に置いた椅子にまたがり、明々と燃える炎にじっと見入った。 …